友に歌は届いたか。「SONG FOR A FRIEND vol.6」、後記。

“ありのまますべてそのまま歌う夜未だ見ぬ友に捧ぐ歌だけ” 辻井竜一

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26日は、「SONG FOR A FRIEND vol.6」、最盛会にて閉幕。
ご出演頂いた方々。ご来場頂いた皆様。会場での物販、撮影、録音、通訳等
ご助力頂いた方。ここに、厚く御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。



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(追記。イベント後に哲夫さんから届いた、絵はがきより…。)

当日の全演目を録音したMDを聴きながら、少し書きます。

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当日は不在ライヴとなった、短歌詩人、辻井竜一さんの上記掲出句一首代詠にて開幕。
実質、先鋒は自分。中途でMCの際、前方の人垣に驚く。僕は歌を歌う時に、観客の顔を
直視する余裕はまだないが、目を閉じていても見える人々が、歌にある感情を解放してゆく。

当日のセットリストを、以下に記載します。(演奏時間約50分)

1.街角の天使たち
2.花
3.街路灯の夜明け
4.月を乗せた街
5.雪の地平
6.真理の囁きに
7.冬のマンハッタン
8.純潔、忠誠、もしくは狂気
9.友に捧ぐ歌

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次に出演は、三村京子さん。
生のライヴを観るのは、初めて。以前に聴いていた前作の作風は、より深い心情を抉る
世界を脱構築し、“うた”と“ギター”の関係性を改めて考えさせられる素晴らしい演奏
だった。それでいて、三村さんという“歌うたい”から吐き出される世界は、一見不穏で、
背徳的な妖しさ、陰鬱さを映し込んでいたりもするのだが、その深奥には、何かとても
美しい水流を隠し持っているように思えた。歌のモチーフ、曲のプレイ・スタイルに
多様性を魅せながらも、根幹に刺々しく荒削りなフォークの持つ特有の匂いを孕んだ
“うた”は、心の軋み、擦れる熱が上げた、蒼い煙を立ち昇らせているかのようであった。
脱帽である。「いつもそこを出てゆく」という歌が、耳からこびり付いて離れない。



三村さんの当日のセットリストを、以下に転載させて、頂きました。

引用元 http://www.aa.isas.ne.jp/kyowoikiyo/index.htm

1.あなたは従うだけ
2.別の肉になるまで
3.岸辺のうた
4.女子高生ブルース
5.(即興)+朗読:【壊滅的な私とは誰か】
6.いつもそこを出てゆく
7.birdland's end
8.くつをとばせ(作詞/杉本真維子)
9.深夜の猫
10.有為転変ブルース
11.(即興)+朗読:【花子かわいいよ】(詩/橘上『複雑骨折』より)
12.フリスコの終焉

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三番手に、Rachael Dadd。
Rachaelは、駅に迎えに行ってから、リハ、本番演奏等、サポートさせて頂いたが、
表現者としても人柄としても、とてもオープンな心の持ち主で、歌にその生活の美しさ
がそのまま現れていた。遠い東洋の異国で一人、自分の音楽をやるのだという固い信念が、
彼女の真っ直ぐな眼差しにあった。彼女は、おそらくこの長期滞在中に、複雑怪奇な言語、
日本語を懸命に学んでいたのであろう。MCもほとんど日本語。長いライヴ告知のスピーチも
わざわざローマ字に書き起こして、読み上げていた。リハ後、昼食の際にマクドナルドの
場所を教えたら、「好きじゃない。」と笑って言っていたのも印象的だった。僕のギターが、
Rachaelの音楽を奏でたのも素敵だった。バンジョーにギター、ピアノに刺繍。彼女は、
モノを作るコトに情熱を注ぐ事の出来る、素晴らしい一人の“アーティスト”であった。
彼女に高円寺を知っているか訪ねたら、知らないと返って来たので、この街では、日本の
フォーク・アーティストがたくさん生まれたのだと伝えた。あと蛇足で、自分はこの街の
アート・スクールを卒業したんだと、何故か若干、誇らし気に言ってみた。三村さんが
自身のブログで、(Rachaelの)“アルバムを聴いておもった。「戦争に反対する唯一の
手段は・・・」「生活を美しくし、それを徹底させること」。”と綴っていたが、まったくその通り
だと思った。彼女の音楽が美しいのは、そういう事なのだと思う。内実の一致にあるのだ。
終演後、彼女にイベント収益を還元した時に、「ヨクデキマシタ!」と言われたのが、なんか
小学校の先生がよく押す、あの桜の形をしたハンコのようで、笑ってしまった。帰って来て、
ギターケースを開けると、彼女のカポが付いたままだった。チューニングもそのまんま。



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Rachael Dadd / And When I Cannot Dream

そして緑の丘の夢を見る
郊外に続く道もあれば
都市や街なかに入ってくる
夢を見ることができない夜

降りようと思えばどこでも降りられた
わたしたち二人の4本足はダンスしたがっている


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Rachael Dadd MySpace

http://www.myspace.com/rachaeldadd

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そして、イベント最佳境。
ラストを飾ったのが、詩人の中上哲夫さんと、即興演奏家の尾山修一さん。



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哲夫さんとは、このイベントに向けて何度も往復書簡とデンワでやり取りし、どんな人
なんだろう?とずっと考えていたのだけれど。リハの時、予定より早い時間にマスク姿で
到着され、僕はご本人と気づかず、「宮田さんはどなたですか?」と言われようやく
すみませんとご挨拶した。暫くして到着した尾山さんに、哲夫さんが、出演者の経歴を
載せたCats BerryのHPをプリント・アウトした紙を見せて、「ニューヨーク、行ってたんだ。」
「うん。行ってたよ。」「ほら、ココに詳しく書いてあるんだよ。」とか、長年の相棒同士が、
意外と知らなかったなあ~みたいな風情で話されていた姿に、何か心が和んだ。
哲夫さんがこの日朗読されたのは、『さらば、路上の時よ』という古い詩集。もう絶版の
ようで、僕は読んだ事がなかった。ジャック・ケルアック。この男にイカれてしまった一人の
男の心の呟き。哲夫さんは始終飄々としていて、「酸欠だから」と会場脇の階段にいたり、
気がついたら、カウンターの裏でペンギンのマスターと話し込んでいたりと、マイペース。
最後の最後で、「また、よろしく。」と笑顔で言って頂いたのが嬉しかった。終電ギリギリで
(全出演者が、そのような感じになってしまったのですが。)哲夫さんが帰って行った後、
終電を逃した千鳥足の尾山さんが、純情商店街を行く帰り際、「あんなに詩を読むのが
ヘタクソな詩人もいないんじゃないか。でもそれでいいと思うんだよなあ。」と嬉しそうに
話していたのが、印象的だった。「若い頃、どうしてニューヨークに行ったんですか?」
と僕が聞くと、「アメリカってどういうもんなのか、見たかったんだよ。」と言っていたのも
素敵だった。最近は英国のミュージシャンとの親交が厚いとの尾山さん。「アメリカのジャズ
をねえ、日本人は一時、持ち上げ過ぎちゃったんだよねえ。」というお話も興味深かった。
ドタバタな主宰の手前、あまり落ち付いて話す時間がなかったけれど、哲夫さんたちに
また会いたいと思った。今度はイベントの段取りではなく、「詩」についてのお話がしたい。

中上哲夫全集

http://www.interq.or.jp/www1/ipsenon/p/nakaga1.html

尾山修一

http://www.arumon.com/avant/profile.html

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今回のイベント、二度とは組み合わない希有な顔合わせであったかもしれないが、
互いの表現者としての欲求における、交流のきっかけとなって貰えたなら、自分としても
申し分ない。観に来てくれた人たちにも、それぞれに思うところ、考えるところがあるに
違いないが、消費や憂さ晴らしとしての音楽や言葉の向こう側にあるものを、少しでも
感じて頂けたなら、嬉しく思う次第です。机上のパズルのような思いつきで今回も
生まれた、SONG FOR A FRIEND。結果50人を超える人々が一夜を、あの高円寺の
穴蔵(笑)で過ごした事実は、自分にとっての反省含め、とても手応えのあるものでした。
この場で生まれた繋がりが、先へ先へと醒める事のない、熱の繋がりでありますよう。



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以下、当日の新曲から。

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宮田京之亮 / 花

花の咲く季節に 歌が出来ました
また巡り来るこの季節に 私はあなたに会いたい

花の咲く季節は とても良いものです
うまく行かぬことは 何ひとつないと そんな気がします

夜更け過ぎの稲光と
やがて降り出した雨の音(ね)

花の咲く季節に 歌が出来ました
また巡り来るこの季節に 私はあなたに会いたい

散ると分かりながら咲くのが
花というものでしょうか
花の咲く季節に散る花もある
花はその生涯に 何度花を咲かせるのか
なんて考えてたら 眠くなりました

花の咲く季節に 歌が出来ました
また巡り来るこの季節に 私はあなたに会いたい


宮田京之亮 / 友に捧ぐ歌

目を覚ませ 冬の澄み切った時の中では
確かなものに 身を委ねるもの
だけど何かが 君を夢中にさせ微笑み
全てを奪い取り そして去って行く

走り出せ 月が雲に隠れる前に
永久(とわ)に続くものを さあ手に入れるのさ
待っているだけでは あの太陽が
君を脅し騙して 裏切るだろう

時は速く過ぎ去るから
友にこの歌を捧げよう

立ち上がれ 苦しみ悩む時も
まとわる影を切り裂いて 光追い求めて

滲む心の移ろいも 決して恥じる事なく

Lyrics based Roddy Frame

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「SONG FOR A FRIEND vol.6」、会場BGM

In The Morning (40 Voices) / Alicia Bay Laurel
Tonight At Noon / Charles Mingus
San Francisco Scene (The Beat Generation) / Jack Kerouac
Four On Six / Wes Montgomery
Dream: " On A Sunny Afternoon..." / Lawrence Ferlinghetti & Helium
To When / Wes Montgomery
Woman / Jim Carroll With Lee Ranaldo, Lenny Kaye & Anton Sanco
Jingles / Wes Montgomery
How To Meditate & Mexican Loneliness / Lydia Lunch
Invisible Lady / Charles Mingus
The Moon / John Cale
Old Blues For Walt's Torin (LP Version #2) / Charles Mingus
The Last Hotel / Patti Smith With Thurston Moore & Lenny Kaye
Peggy's Blue Skylight / Charles Mingus
Angel Mine / Inger Lorre & Jeff Buckley
Passions Of A Woman Loved / Charles Mingus
The Brooklyn Bridge Blues / Eric Andersen

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I love Koenji...

http://www.asabi.ac.jp/topics/#id610

http://asoboo.com/events/2382

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