美しく自生する音楽。川手直人とRachael Dadd。

今晩、Rachael Daddの来日ツアー、
Plum Blossoms Tourがキック・オフ。
西荻窪の小さなギャラリー、「Fall」へ観に行きました。
この日はツアー前哨戦とも言える、川手直人さんとの数曲コラボ。

★今晩のライヴが既にAngel's EggのサイトにUpされています。

http://blog.livedoor.jp/angels_egg/archives/cat_50008593.html

「ユカワアツコ個展 ―小鳥ならば―」会期中の
ライヴ・イベント、一番手の伊藤啄矢さんは、ジャズ・ギターを
基調とした、スキャットやハミングが小鳥を思わせる素朴な弾き語り。
谷崎潤一郎の春琴抄の朗読にインスパイアされたインストの小品曲や、
ジャズ・スタンダードの「Bye Bye Blackbird」のカヴァー等、素敵の一言。

次に山梨は八ヶ岳近隣に居を持つ、アコースティック・ギタリスト、川手直人さん。
今回、Rachael Daddとともに3月まで日本をツアーするそうだ。川手さんは、
多彩なギターの奏法に捕らわれる事ない、時に多弁に、時に寡黙なギター1本による
アコースティックなインストを演奏されていた。僕には、Davy Grahamが
酔っぱらって千鳥足になってしまったかのような、変則的な曲の展開が凄く良かった。
「僕はここでやると、いつも緊張してしまうんですが。それはこのギャラリーがガラス張り
だからだと思うんです。お客様に対して緊張しているというより、外の世界に対して緊張
してしまうんです。赤瀬川原平という人が好きなんですが、彼の本で、昔彼が美学生の頃、
ヌード・デッサンをしていたら、モデルが突然、キャーと言って逃げてしまったそうです。
理由は、窓の外で電柱工事のおじさんがこっちを見ていたからなんだそうです。
人は状況や場所によって、突然性質を変えられてしまうんですね…。」と面白い話。
途中からRachaelが加わり、彼女の曲を日本語詩にしたもの等を交え、バンジョーで
伴奏をつけたり、つけられたりしながら、素晴らしいアコースティックな音景を紡ぎ上げて
行く。会場は、とても小さな街のギャラリーと言った風情、観客は満員だったけれど、
多くても20人程度のささやかな宴。途中で外にいたら、Rachaelが出て来たので、
話しかける。Cats Berryのイベントに興味を持ってくれていてメールのやり取りをしたので、
片言英語だったけど、すぐ分かってくれた。Konnichi-wa, Sugoi ! とか、憶えた日本語を
なるたけ使おうとするRachaelは、素敵な女の子でした。傍らに、今回の来日を用意された、
Angel's Eggの方がいらっしゃったので、その方を通していくつか通訳を交えてお話しする。
イベント終了後、挨拶して帰ろうとすると、1 limitedの手作りの缶バッチがあるから
ちょっと待ってねと、Rachael楽屋へ。すると川手さんが出て来たので、「CD買いました。」
とお話しすると、以前、マヘル・シャラル・ハシュ・バズに参加していた時の話や、今の表現
のスタイル等、「何処まで話しましたっけ?」と熱くいろいろと興味深い話を聴かせて頂く。
(CDを買ってくれたからと、最新のCD-R音源やフライヤーまで、ご親切に下さいました。)
工藤冬里さんの音楽に出会って、自分は明らかに今までにないものに出会った
というお話を聞く。それで実際、川手さんのギターは同時に素晴らしい技量である
と自分は感じていたので、「確かにマヘルの演奏においては、まったく楽器が出来ない人や、
敢えてまったく練習をしない、というスタンスがあったりしますけど。ギタリストとあれば、
少なからず、土台となるギターのスタイルというものがつきまとうものですよね?」という
ような質問をすると、いきなり、「まさにその通り!」とガシッと肩をつかまれ、吃驚する(笑)。
「以前、自分の音楽をおしゃべりのようなギターだねと言ってくれた人がいて。それはいい
評価を頂いたと思っています。」というような話をされていた。「Davy Graham好きですか?」
と聞くと、「トラッドは好きですよ。でも最近、あまり音楽を聴かないんですよね。John Fahey
が好きじゃないかと聴かせて貰ったりしたけど、別にどうというわけでもなく。Pentagleは
凄い好きですけど。」The Pastelsを中心とするグラスゴーとの繋がりについてお聞きすると
(半分、インタビュアーみたいになって来てしまったのだけど笑)、「パステルズと出会った
きっかけはマヘルでしたが、昨年はグラスゴーでソロもできました。彼らは生活の中で
音楽活動をしているけれど、そうした時間を共有できることが何よりの幸せです。もともと
彼らの熱心なファンではなかったのですが、ダイレクトに飛び込んだことがかえって
良かったのだと思います。僕にとって彼らは友人ではありますが、尊敬する特別な存在です。
彼らに限らず、BluebellsとかPale FountainsとかAztec CameraとかOrange Juice
などの方々、当時のひとたちは生活のペースで音楽を続けている印象を受けます。」
等々、自分的にも話が止まらない方向に走り始めて(笑)面白く
なって来たところ、Rachaelが缶バッチを選ばせてくれる。彼女が手作りで刺繍をいれた
缶バッチ。僕はトカゲの模様のものを頂く。Rachaelとは、僕の英語の拙いせいで
深く突っ込んだ話は出来なかったけど、Cat Powerの「Greatest」は素晴らしいアルバム
だったとか、その場で「Greatest」を歌い出したり、僕が彼女の音楽を知ったのは、CD店で
彼女のアルバムを売っていたときの事だったという話などを、ダメな英語で色々話す。
最後に彼女、自分の手書きの手帳を見せながら、「anata ni aete yokatta. watashi
wa nihonngo ga amari dekimasen (笑)」、冗談まじりで「See you!」と、ご挨拶。
それでも、長い間ご両人とお話出来て、音楽に熱く、どこかユーモラスな雰囲気が、
とてもアット・ホームで素敵でした。彼らのツアーはこれからが本番。機会があれば、是非!

------------------------------------------------------------------------------------------------

Rachael's blogより。

Walking through Shibuya shopping district of Tokyo with Naoki I saw some of
the results of the recession that are not obvious on the surface. He pointed
out a huge shopping tower which has recently closed down due to the
economic situation. Then he told me that there's a rumour of Tower records
and HMV closing down, as a result of the economy and the effects of internet
shopping. I hope they don't close down as (from a purely selfish stance) I'm
enjoying seeing my cd on their shelves! I took a photo as it's the first time
I've ever seen my cd in a major record store and I was excited!

On the tube on the way home Naoki talked about another of Japan's hidden
characteristics. He told me that there is a huge mafia network that goes back
for many generations. It's tradition is actually celebrated by many, but now
that they've swapped their samori swords for guns and drugs they don't
sound all that heroic to me. My jaw dropped when Naoki told me that the
managing director of one of the major record companies in Japan is part of
the mafia. He said it's a secret that everyone knows about. Well I'm relieved
my music's not commercial. I reckon I'm safe!

------------------------------------------------------------------------------------------------

彼女のblogを読むと、音楽の未来のもうひとつの光が見えて来るような気がする。
我々が愛している類の音楽にとって、例え大手レコード会社や大型レコード販売店が
巨万の富を生む時代が終わりを告げるのだとしても。それはそんなに悪いことでは
ないのかもしれない。アーティストが自ら音盤を制作出来る環境はほぼ整いつつあるし、
以前のように、経済に搾取されながら音楽が疲弊の道を選ばざるを得なかった時代は
確実に瓦解しつつある。勿論、絵空事のようにキレイゴトだけの側面だけではないとしても、
本当に音楽が好きな人間であれば、金や名声とは無縁の地平で音楽を鳴らし続けるだろう。
きっと美しく自生する音楽は、経済に殺された音楽の屍の上に色とりどり花を咲かせるのだ。

-----------------------------------------------------------------------------------------------

画像




川手さんの自主制作CD-Rと、Rachaelの1limited 缶バッチ。

------------------------------------------------------------------------------------------------

“PLUM BLOSSOMS TOUR - RACHAEL DADD and NAOTO KAWATE - ”

2月09日(土) 西荻窪・Fall ※藤野真由子さん個展のクロージング
2月10日(日) 水戸・月虹舎
2月11日(月) 筑波・Shingoster LIVING
2月15日(金) 京都・Yugue
2月16日(土) 姫路・Ease
2月17日(日) 大阪・410
2月23日(土) 松山・予讃線車内
2月29日(金)小倉
3月1日(土)熊本・Gab★
3月2日(日)福岡
3月7or8日 京都
3月7or8日 奈良
3月9日 福井
このほかも続く予定です。

お問合せ:amaotosae@hotmail.co.jp(川手)



画像



川手直人 MySpace

http://www.myspace.com/komariirimame

Rachael Dadd MySpace

http://www.myspace.com/rachaeldadd

Rachael Dadd hp

http://www.rachaeldadd.co.uk/

この記事へのコメント

kawate
2008年01月27日 14:12
昨日はありがとうございました。
お伝えし忘れたことがありますので、CDRに記載のアドレスまでメールをいただけますでしょうか。よろしくお願いをいたします。
miyata
2008年01月27日 22:10
コメント、ありがとうございます。
今、最新の「sitting down on the blues」
を聴かせて頂いています。素晴らしいです。
これより、メール致します。

この記事へのトラックバック